09.跪(ひざまず)く 始めは、いつか裏切られるような気がしていた。 顔を隠し名前を隠した彼は、私達に道を示してくれたけれど、私達とは違う場所を見つめているようだったから。 「それで、貴方はどうなの。そこまで考えていて、ルルーシュ・ランペルージの意見は」 きつい物言いをしてしまった。腹が立った。そこまでわかっているのに、なにもしようとしない彼に。黒の騎士団を興し、賛否両論、自分がしていることが正しいのかどうか、わからなかったのだ。 世界を斜に構えて眺めているルルーシュ。だが、他人に対しては少々不器用な優しさを、そして唯一の妹や友人、枢木スザクには掛値なしの微笑みを与える男。 そんな彼は、狭い世界で大切な者を囲い生きる、小さな男だと思っていた。ブリタニアそのものだ。他人の中に土足で立入り、荒らし、突き放す。だが、彼には世界の俯瞰図が見えているのだ。まるであの人のように。 だから、世界に対する彼の考えを聞いてみたかった。その時の彼の答えは陳腐なものだったが、あれはルルーシュがルルーシュとして生きるための真理だったのだろう、と思う。 島で、あの人に利用したと断言された時には、考えることも出来なかった。けれど、私がお兄ちゃんの生きた意味を、死の意味を求め、お母さんを守ろうとしたのと同じ様に、あの人もあの人の大切なものを守るために戦ってきたのだと、今ならわかる気がするの。 だから、 「戻って来て下さい、ゼロ」 今度は貴方の痛みを、共に。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 20080228 ブラウザバックでお戻りください |