捩れた世界の、嘘








「そろそろ、僕らの命数が尽きる」     
「この世界では、な」

 

 01: 世界の終焉で笑った僕ら




ぱちぱちと爆ぜる火の粉が、風にのって二人の間にふうわり落ちる。

「苦しかった、君と戦わなければならない運命が」

手にした凶器を放り投げる。重い筈のそれは、スザクの手によれば玩具の様に軽い印象を残して半壊した壁の向こうに消えた。そこにある筈だった玉座はとうに崩落し、座するべき人間も既にこの世界を去った。

ずうん、と腹の底に響く爆音と沈み込むような揺れと、細かな振動が足元から響き世界の終焉を告げた。
「辛いのはお互い様だ、俺だってお前を憎まなければならないのが辛い」

ルルーシュは手にした仮面を捨てた。
幾度次元を越えようとも、必ずルルーシュの手に顕れるそれ。
そして破滅へと導くのだ、スザク諸共。

「だが世界は潰える、再びな、」
「僕たちは異物だ、滅びはしない」
ルルーシュは空いた手で顔を覆った。左目が灼熱の鏝を当てられたように痛み、僅か苦悶の声を上げる。
間にあった数歩の距離を、まるで感じさせない身軽さで飛び越え、スザクはルルーシュを抱きしめた。顔に当てられた手に唇を押し当て、愛しげに囁く。

「さあ、界を渡ろう。」
君が居れば僕は幸せだから。

やがて世界を飲み込む赤い波がやってきた。

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20071116

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