CAGE&EDGE/7.5


















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「ロロ君」
「何、かな」
「ちょっと良い?」
 こそこそと袖を引かれ、裸になった木が林立した裏庭に連れていかれる。何人目かの同級生の彼女の震える手には、淡い桃色の封筒が折れないよう、汚れないようにそっと握られていた。

「これ、お兄さんに渡してくれないかな?」
 封筒を差し出され、僕は困った顔をしていたらしい。
「渡してくれるだけで良いの、お願い」
 重ねて頼まれてしまった。ので、僕は受け取ってしまった。
 そうしたら。

「っ…っ!」

 封筒から剃刀が出て来た。
 彼女の従兄弟の父、つまり叔父がルルーシュに賭けチェスで負けた、ので従兄弟が画策した嫌がらせ、だったらしい。
 彼の父を潰された怨みはルルーシュの指先に10ミリ程度の傷を付けたに過ぎないけれど。





































「ロロ君」
「何、かな」
「ちょっと良い?」
 こそこそと袖を引かれ、花が散り青葉の繁る桜が林立した裏庭に連れていかれる。何人目かの同級生の彼女の震える手には、淡い桃色の封筒が折れないよう、汚れないようにそっと握られていた。

「これ、お兄さんに渡してくれないかな?」
 封筒を差し出され、僕は困った顔をした。
「渡してくれるだけで良いの、お願い」
 重ねて頼まれてしまった。ので、僕は受け取ってしまった。
 そうして。



































 ペリ、と柔らかく留められた封代わりのシールを剥がす。ふわりと甘く薫る少女の想いが込められた便箋は薄桃色で、丁寧な字で気持ちが綴られていた。
 冷めた、というより冷酷な光を宿した菫色で精査するように文面と署名を見る。
 刻む。ルルーシュに想いを寄せる少女の名を。そして、












 くしゃ、と握り潰した。












 煙草を吸う人間は校内には居ない。第一、校内は監視の目があちらこちらに光っている。

 機情の本部に行く。兄さんは、今夜は騎士団に付きっきりだ。だから、これは
(僕が)

 機情の喫煙スペースで、桃色の便箋に火を付けた。少女の恋に
(弔いを)

 兄さんは君のものにはならない。


 ―――だれのものにも、ならない。












 痛む胸に僕は気付かない振りをした。



(7,5 ブレター)

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20080605




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