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一方、家屋内に戻ったルルーシュは、ふう、と一息つきました。
肩口のスザクが、お疲れ様、というようにルルーシュの首に鼻を押し付けます。
ルルーシュはそんなスザクを愛おしげに一瞥しました。
「うまくいったようだな」
「C.C.!」
ふよふよと浮きながら魔女が笑います。
腕を一振りすると、床に降り立ったスザクが飛び付いてきました。
「良かった…ホントに、うまくいって良かった…」
「…お前は一体何の心配をしていたんだ?」
「………C.C.の策が成功してよかったね、って事だよ」
「なら良いが」
本当は、いくらC.C.の魔法がかかっているとは言え、本当に男になっているのかの心配半分、自分からシャツのボタンを外すルルーシュにやきもきしたのが半分、でした。
きゅ、と抱きしめると、何処にも丸みのない、青年そのものの身体が確かに腕の中にありました。
その硬い感触も、策が成った今は嬉しいものでしかありません。
が。
「ところで、C.C.?」
「なんだ」
「俺の身体はいつ元に戻るんだ?」
先ほどは落ち着いて話をする間もなく家から追い立てるように追い出されたので、スザクが確認をする間もなかったのです。
「今回お前にかけた魔法は一年間という時限を付けてある。シュナイゼルが再び戻ってこないとも限らないからな。だが、これも所詮は魔法だ。魔法はキスで解ける。が、解くなよ」
それはつまり、一年間はキスができないと言うこと。
「あれ?え?じゃあ僕の魔法は?」
「……一年間は、我慢しないとな。」
でないと魔法が解けてしまうから。
スザクを本当の人間にしてくれるのはルルーシュからの、心の篭ったキス。
でも、それは同時にルルーシュの身体に掛けた魔法を解いてしまうことにもなります。
「一年も…」
ルルーシュと両想いになった時には、すぐにも人間になれると告げられていたスザクです。ここでの一年のお預け、もとい、キス禁止令に、堪えられるか自信がありません。それでも。
「そうだ一年だ。一年待てばお前らは夫婦にだってなれるんだぞ。ルルーシュが好きなら一年くらい耐えてみせろ」
それくらいの根性は見せてみろ、ルルーシュをくれてやるんだからな。
魔女は最後の一言を心のうちで呟き、今は亡き、かつては友人であった皇女に言います。
(契約の半分は成った。後はお前の娘次第だ)
ルルーシュは肩を落とすスザクの肩を抱きました。悄然とした背中は随分と頼りなくうつります。舞踏会の夜の姿が嘘のようでした。
(そうか、元は鼠だったか)
ならば一般常識が何処まで身についているかは怪しいところ。
この二日間はそつなくルルーシュの行動を模倣して凌いでいたようでしたが、これからもそれで通るとは限りません。きちんとした教育が必要です。
「安心しろ、スザク。俺がお前を立派な男にしてやるから」
「………?うん?」
放心していたスザクはけれど、ルルーシュから眩しい笑みを向けられて、今度は頬を染めて俯きました。
あと一年。
スザクの忍耐力や如何に。
「別に二度とチャンスをやらんとは言っていないのにな。素直な奴らだ。」
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20070630
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200706XX
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